デジタルデトックス ①
あるご家庭がデジタルデトックスに挑戦中とのこと。
デジタルデトックスというのはデジタル機器の使用を控えたり、デジタルコンテンツに触れる機会を減らしたりする取り組みのこと。
具体的にはスマホ、ゲーム機、パソコンなどから離れ、触らない時間を作るということになる。
デジタル機器の危険性については様々な人が警鐘を鳴らしている。
実際に子どもたちの生活に触れている人間ならば、肌感覚で「これはやばい」と感じると思う。
子どもたちの置かれている状況をよく知らない人は「安易に禁止するのではなく、かかわり方をこそ教えるべきだ」などという人もいるが、ことはそんな単純な話ではないように思う。
実際にあった、ある子の話。
その子は毎日塾へ勉強に来ていたし、問題が解けたときには小さな喜びを感じて嬉しそうな顔をしてくれていた。
とても前向きに勉強に向き合ってくれていたと思う。
ある日、日ごろの頑張りに対するご褒美としてだと思うが、ゲーム機を買ってもらったそう。
しかしそこから様子が一変、塾へ遅れてくるようになり、ほどなく欠席もするようになった。
塾へ来てもできるだけ早く帰ろうとするし、問題が解けたときにも全く嬉しそうな顔をしなくなった。
見かねた保護者の方、買い与えたばかりであるにもかかわらずゲーム機を取り上げる決断をされた。
このときのご対応の速さは本当に素晴らしかったと思う。
深く依存する前だったのが良かったのだろう、すぐに元の状態(毎日勉強に来て、問題が解けることに喜びを感じる)に戻ってくれた。
つまり、刺激の強いものが近くにあると勉強に面白さを感じられなくなるし、勉強に対して無気力になる、という話である。
もう一人、別の子のお話。
その子は平日でも4~5時間勉強するほど熱心で真面目な子だったが、成績はいま一つだった。
話をすれば利発な子であるとわかるし、教えれば理解力があることもわかる。
だから普通に考えると学習量に対して結果が伴っていなさすぎる状態であった。
この子の場合、勉強中もスマホでラインのやり取り、ときには通話しながら勉強、というのがよくなかったのだと思う。
一説には人間は集中するまでに20分前後かかるらしい。
もし20分おきにラインのやり取りをしてしまうとそのたびにリセットされてしまうため、何時間勉強しようとも集中している時間は0、ということになってしまう…。
もちろんその子には状況(どれだけ効率の悪い勉強をしているのか)について説明をし、改めるように伝えもした。
だが、友人とのかかわりあいを断ることはできなかったようで、ずっとその状態が続いてしまっていた。
本人的には「自分はとても頑張っている」という認識だったのがなんとも辛いところだった…。
つまり、デジタル機器との付き合い方を間違えると「勉強してるっぽい感じ」にはなるものの、実際には時間ばかり奪われてしまうこと。
そして、デジタル機器との付き合い方が間違っているとわかったとしても、デジタル機器を通した他者との関わりあいが一度できてしまった後では、そこから自力で抜け出すことは難しい、ということだ。