特殊算についての続き
前回、受験算数で出てくる特殊算について、つるかめ算を例にご紹介させていただきました。
ところで特殊算について、世間ではどう思われているのだろうと、ふと疑問に思いましたのでネットで調べてみました。
ざっと見ただけですが、特殊算の指導に否定的な意見が多くて正直驚きました。
理由は、例えばつるかめ算は「面積図」というものをかいて解くこともできるのですが、面積図を使って解く方法を教えると原理を理解せずに作業として解くようになってしまう子がかなり多いためであるようです。
こうなってしまうと工夫をして解けるようになるどころか、解き方を覚えるのが勉強であるという間違った刷り込みが行われてしまい、害悪でしかないという意見のようです。
中学受験をする場合、多くの子は塾へ通って対策をしていきますが、そこではたくさんの課題が出されることになります。
生徒さんの側からするとするべきことがたくさんあって精神的に余裕がなく、1つ1つの問題に丁寧に向き合っていくことが難しい状態になります。
塾側も原理は後にしてとりあえず解けるようにしてあげたいという気持ちがあるのと、集合塾の場合は多くの生徒さんを抱える中で1人1人の理解度を確認して適切な階段を用意するのは不可能に近い状態にあり、詰め込みのような指導になりがちです。
結果、解法暗記というまずい癖がついてしまう生徒さんが多くなってしまう、というわけです。
否定的な意見の方たちの考えは、例えばつるかめ算は中学校へ進んでから連立方程式を学習すれば解けるようになるわけなのだから、わざわざ小学校で変な癖がつくかもしれないリスクをおかす必要はないだろう、ということのようです。
それは全くその通りだと思います。
加えて、僕が見てきたケースとして、中学へ進み、そこで学習する1次方程式や連立方程式を、受験算数で鍛えた逆算や特殊算の解法でクリアしようとしてしまい、代数的な式を立てようとしなくなってしまう、というのもあります。
「解けるんだからいいじゃん。」という意見で、新しい技術を身に着けようとしない状態です。
勉強は中学受験でたくさんしたんだから中学では手を抜きたい、という気持ちが背景にあるようで、いわゆる燃え尽き症候群です。
このようなデメリットがあるので受験のための特殊算の学習には細心の注意を払う必要があるのは間違いないでしょう。
詰め込みになってしまうとその後の中学、高校、大学での学習に大きな影響を与えてしまいます。
それでは何のために早い時期から勉強をしてきたのか、させてきたのか、ということになってしまいます。
また長くなってしまったので次回へ続きます。